2020(令和2)年 春の叙勲受章者 母校の元学長元場俊雄先生が瑞宝中綬章を受章しました

母校だより | 2020年4月30日 17:38

 元場先生は、京都大学大学院を修了された後、大阪電気通信大学に職を得られ、永年にわたって勤務していただきました。(略歴は後述しています)

 2002(平成14)年4月に第8代学長に就任され、2008(平成20)年3月までの2期6年間を本学先頭に立って母校発展にご尽力されました。

 当時、友電会員に語っていただいたお言葉を紹介し、先生のお人柄やご功績をお伝えしたいと思います。

-学長就任にあたって-

 このたび学長に選ばれたこと自体が、私にとっては正に晴天の霹靂であり、4月当初から多々とまどっているのが正直なところです。ただ、私も電通大で教育研究に携わるようになってから早や26年になりますので、似たような世代の同僚諸兄と同じく、この大学を良くして行こうという愛着と情熱は人並みに持っているつもりです。

 数年前、友電会役員の方々と大学側の代表委員との合同会議の席上で、電通大の未来像や将来計画をめぐって、結構きびしい論議をしたことがありました。その中で,いま現在の大学の状況把握が重要であって、現役の学生さんと将来入学してくれるであろう若い世代に、いかに科学技術の魅力ある探求の場を提供し、彼らの成長を助けることができるか―これこそが最も努力すべき大事な点ではないかと考えるようになりました。

 言いかえるならば、これからの卒業生が実社会に出てから電通大で学んだ事実を将来誇りに思えるようになること、そして彼らの社会的活躍が私ども教職員にとっても誇りになるような、そんなコインの裏表のような関係が大事なのではないでしょうか。

 すでに約3万人にのぼる卒業生が本学から巣立ち、産業界の各方面で活躍しており、この事実は新入生を大いに励ますものとなっています。

 本学は創設以来、社会発展の基盤となる技術革新の流れを先取りし、また未来を支えるテクノロジーを見通して整備拡充を実現して来ました。工学部一部、総合情報学部、工学部二部にわたる11学科、さらに付置センターや研究施設をあわせて、その規模や多彩なスタッフは、大規模な私大の当該学部と比しても勝るとも劣らないものとなっています。カバーしている研究・教育の分野は多岐にわたっており、それゆえ、いまや「電気通信」という大学名称が狭すぎるイメージを与えてしまうのではないかという指摘も、かなり内外に存在するほどです。

 近年の特筆すべき点のひとつは、大学院工学研究科博士課程の開設であり、ハイテク時代の社会的要請にこたえるべく、名実ともに高等教育機関の体制整備が実現したことでしょう。もう一つの象徴的な最近の前進としては、映像やアートなど人間的営みと情報技術を結びつけるメディア情報文化学科の開設、また、質的に豊かな社会生活構築の要請にこたえんとする医療福祉工学科の開設をあげることができます。

 テクノロジーの急速な進展と実用化の過程においては、さまざまな社会的歪みが派生することもあります。「合理性」と効率のみを優先しがちな産業社会の動向に対して、ゆとりや社会生活の質的向上を求め、人間的感性を重視した生活空間を構築する必要性が昨今強調されています。これは、むしろ当然の社会進歩の流れといえますので,大学教育においても、たえず斬新で魅力ある教育的改革に敏感でなければなりません。このような姿勢で教育研究の現場を進歩させて行くことができればと考えております。

 多くの卒業生の皆さんとは,同窓会組織だけでなく、社会と産業界の現場そのものが、大学との接点として多面的なつながりができてくるのではないでしょうか。その意味で今後とも双方有益な関係が発展すればと念じている次第です。


 会誌86号(2002.5月号の原稿を一部カットして掲載致しましたことをお断り致します)

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マレイシア国首相訪問時の写真(右側から2人目が元場氏)

〔元場先生の略歴〕

(1972年京大大学院出身,理学博士。電通大工学部講師,助教授を経て84年工学部数理科学研究センター教授。96年より3年間文部省学術審議会専門委員,99-00年度工学部長。01年度はワシントン大学およびブルックヘブン国立研究所客員研究員。米国物理学会学術誌PRC編集委員など。)